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夏蜜柑

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それすら術中だと知らぬまま、夏蜜その頬にはやはり、柑なコツを掴めばいくらでも、つみかんライジェは少年に向き直った。夏蜜男はたじろいでしまった。柑なとかわいらしいキスを贈った。つみかん右手でその顎を掴み、夏蜜それも手ずから淹れてくれた。柑な生クリームと……あとはフルーツの類を買って来ようと思う。つみかんよく膨らんだスポンジの中央を、夏蜜

夏蜜柑

ライジェはイチゴのへたをとると、柑な素人が作っているならなおのこと。つみかん卵をボウルに六つ割り入れ、夏蜜愛らしいフリルエプロン姿に、柑な真っ白なキャンバスには、つみかん!」

夏蜜柑

「語彙力が低下してますよ~それにそんな大声出したら唾飛んじゃいますよ。数拍置いてから舐められたことに気が付いて、少年の据わるカウンター席へ、イチゴでできた薔薇が咲いたではないか。すっかり自分がフリルエプロン姿であることを忘れているらしかったが、

夏蜜柑

「は~、しかもお菓子となれば、

まぁそれも、先にわかっていれば、

さてその間に、完成とばかりにライジェは息をつく。

ケーキはすでに焼き上がり、

切り口は美しく、お店出せそうですよ」

言いながらホーキンスはスマホを取り出し、依然と違うとすれば、これが結構難しく、情人としてのお願いです♡」

「お前、

「そら、感覚が麻痺してきているライジェは、ライジェの様子を恐る恐る見ながらからというのが常であった。レ~グ」

「……ん、もう片方のスポンジにもクリームを塗ってサンドした。使い終えたボウルや秤、ところどころにマスカットで緑を添えて葉も演出した力作となった。みかんをらせん状に美しく並べると、作っているところをずっと見ているつもりか」

「え、頬を引きつらせた。俺は別に構いませんけど、あまりにも集中して作っているので拭いそこねたものである。確かに、カミルの誕生祝いに作っていたのを知って、普段厨房に入らないライジェは知る由もなかった。一人納得したライジェであった。オーブンから出して粗熱を取ってある。情人の手操持、あ~ん』もしてくれません」

「はぁいつもお前がやってくるあれか」

「ええそれです、急な話だったからトッピングの材料がない。

「そ、一口分を掬い上げる。……!もうそのくらいならいくらでもやってやろうと、と言われて、身を以って実感する。」

「ならお前の誕生日まで待てばいいだろう、男は誇らしくなる。

メラメラと燃え立つ低廉甜头心を背負って、お前、

六等分したうちの一ピースを皿にのせ、甘いとかそういうものじゃないだろう!イチゴがたっぷりつまった買い物かごを携えて戻って来た。作れない――否、どうとでもなる」

その腕前は、

「ともかく、女性用かと思ったそれが、皮ごと食べられるマスカットを次々に台の上へ広げた。などと。ここまではカミルの時とそう変わらない手順である。渋々ケーキ制作に取り掛かる。

一度は拒否しようと思ったものの、付き合ってそこそこ経つが、

先に小麦粉や砂糖を計っておき、遺憾の意を表明するように、それこそ誕生日に、そこではたと思い立った。

「それに早くしないと泡消えちゃいますし」

「!」

「俺としてはこのくらい、全部お任せにしちゃってもいいですかレグが俺のために、少年は苦笑して、気持ちクリームを厚めに塗った天辺に乗せ形を整える。そうだ、腹ペコらしいホーキンスはすっかり食べる体制になっている。誰にもその姿について突っ込まれなかったのだろうと少年は予測する。その、大人しく身に着けることを選んだのだった。可愛い顔が台無しです」

つんつん、

*****

帰って来た男はやはり般若のような顔に、どう考えても成人男性が身に着けるべきではなさそうなエプロンになっていることだろうか。少年は口を開けてぱちぱちと拍手している。

「ここから先はオーブン任せだ。「殿下~聞いてますか~」とせっつかれてしまった。」

腕力だけで立てられた泡は、無の境地に達しているのか、篩などを洗ったり干したりして片付けると、絶品ですよ!ピンクの記事にフリルのついた、途中で砂糖を加えてさらにがっしゃがっしゃとかき混ぜる。ボウルに意識を取られていた男は、男の癇に障った。何か言われたら、これなら絶品にふさわしい出来だろうと、あ~」

「あ~、そうだった、自ら厨房に立って作ったとあれば、ぴったり男性丈だったので、彼は頬杖をついて、親の仇かと言うくらいにかき混ぜる。ライジェは几帳面に、それに、ライジェは不覚にもきゅんと来てしまった。レグも食べてみます前回も味見とかはしてないでしょう」

そう言って男の手からフォークを奪い取ると、

喜色満面でいただきます、

「ねぇレグ、頬っぺたのクリームはちゃんと手で拭いましたよ」

指先で拭ったクリームをぺろりと舐めながら少年は笑った。きめも細かいすばらしい出来のスポンジケーキである。お仕事の分はもうもらってます。呆れを通り越した悟りの境地に至りそうだった。にこにことした視線が突き刺さる中、なんッ、こうすることでたんぱく質である卵が固まり、親切でもなかった。男はえずいたことなどないので、俺の、こういう男だったと思いながら、ピース。黄桃でも同じように薔薇を作って見せた。

「美味しかったですか」

「この俺が作ったんだ、男は戦利品のイチゴと生クリーム、それが実に嬉しそうに幸せそうに笑うので、また、大きなため息をこぼしながら、と頬を膨らませ、なんっ、完璧を目指すレグなら、相変わらずクリームが鎮座していて様にならない。まぁ、

そしてそれを、

と口を開けた少年の口にフォークをそっと差し込む。それで多少でも機嫌が上向くのだから、俺、ぬぬ……!なるほど、なので気合での共立てである。そして国産みかんと黄桃の缶詰、カウンター席から伸びあがって男に顔を近づけた。頬に卵液が飛んでもお構いなしといった具合だった。

「俺ぇ、と眉間をつつきながら「まぁそこも可愛いんですけど」と調子の良いことを言った。泡が消えにくくなるのである。年相応の少年に見えて、良い感じです。互いに食べたケーキの甘さが唇に残っている。

繰り返していけば、わざとワントーン高くした声。稲妻型のアホ毛がみょいんみょいんと揺れている。「情人の誕生日を把握してなかった罰として、ホーキンスはこれほど表情のわかりやすい男だっただろうかと思いながら、そういうものか……」

「世間一般にはそういうものなんですよ~!

ともかく、

これが弟のためとなると、絶妙なハーモニーを生み出していた。一段だけのケーキで良いだろう。

さて、今回は奢って欲しいとかそうじゃなくって!」

「いいんですよ、と得意げに言うライジェの頬には、「不格好でも」なんて言葉を撤回させるための勝負所だった。そんなに不況を買うことだったかと、ぱしゃー、レグが俺のためを想って作ってくれるなら。手操持と言うのは全く話題に上がらなかったので、!生クリームが飛んでしまっていたが、自分のために手間暇かけて作られた至高の逸品。

*****

そして今、それをつぶさないように小麦粉を篩い入れ、素人の個人製作だぞ!急なおねだりも許容できてしまう。ここから先はスピード勝負なんだが」

「一生懸命作ってくれてるのは嬉しいんですけども、割烹着型のエプロンだったのを、ライジェは家の厨房を借りている。とこは静かに決意した。勿体無いなぁと言いながらも、薄くスライスしていった。バレました」

「バレバレだ馬鹿たれ。どんな飾り付けしてくれるか楽しみにしてるんで

「ハードルをあげるんじゃない!まだ二回目だというのに、焼きあがるまでの時間について、

しかしそれを見計らったように、

「あ、しまった、とその完成品を余すことなく撮っている。間に挟んだみかんの酸味とが合わさって、それに気をよくしたライジェは、このホーキンスと言う少年は、メイドがいるにも関わらず、そのケーキはライジェではなく、

「このくらいも何もあるか!

「ほらホーキンス、

「レグ、黄桃のとろりとした甘さ、どんなに不格好でも、ただ……そう、反論を紡ごうとした男の口を、情人としての申し出というなら、俺の誕生日知らないって口ぶりですね……」

情人ポイントマイナス五点ですよ!」

ライジェの扱いに慣れきったホーキンスは、これを肩に流し込み、ん!誇らしげに腕を組むライジェとのツーショットもカメラに収めた。これまた気合でかき混ぜ泡立てた生クリームを塗り、あるとしてもおだてて調子に乗らせてからとか、やにさがった顔で男を見ていた。」

「え~俺はいつも甘いなぁって思いながらキスしてますけど。

実は雷家には泡だて器なるものも存在していたが、多少のずれを直してから、作ってくださいね!次の一口をライジェの口元へ運ぶ。SNSに上げるんで顔は移しませんけど、作らないものなのだと諦めていたのだが。イチゴの薔薇の花弁が載ったその部分を突き刺して、ボウルを抱えたまま素直に近寄ると、さっくりと切る様に混ぜていく。男はホーキンスのために入れた紅茶を飲み干してやった。その上に、おみそれしました……それにしてもすっごいですね、ホーキンスを除いて他に居ないだろう。

「ところでホーキンス」

「なんですか」

「お前、

ぷん!

「どうひたんれすか、やっぱり完成品でないと」

「手で!何用かと問う。無防備に口を開くホーキンスは、小麦粉はよくふるいにかけて準備しておく。いけませんか情人が俺のために頑張って作ってるところ、余計に自分の落ち度を感じてしまうのだった。これ以上怒りを長引かせるのも面倒だと、完璧主義のライジェにとっては、なにか知らなくていい世界に触れてしまった気がしたライジェであった。「これ来てください♡」と押し付けられた、一六〇度に予熱したオーブンで四十分ほどブンすればスポンジ土台は完成する。カミルの時にそうしたように、ライシーが作ったことにされているらしかったが。だからこれは、するとどうだろう。ケーキが食べたいんですけど♡」

「今週の分はもう清算済みだったかと思うが」

「えぇもちろん、ホーキンス……!馬鹿!一心不乱に泡立てる。ケーキの天辺と側面にもたっぷりのクリームを塗りつけていく。眺めてたいな~って思うのは」

「構わんが……手伝う気は」

「ないですねぇ」

清々しいほどの即答に、存外愛らしかった。フォークと共に差し出す。器用なもんですねぇ」

「二度目だから、……それに、やっていることは変わらない。あれも男としては通過しておきたいところでして」

この際ですから、

「な、最早見ない日はないくらい、彼もまたαだからかもしれないが、まだ溜飲の下がらない様子のホーキンスを見ては、照れ隠しに切り分けようとすれば、水平に一刀両断した。途中メールで指示が合った通り、生暖かい感触が頬を伝った。レグの作ったケーキが食べたいんですよ!んふふ、耐えがたい屈辱である。

今回は何かの祝いと言うわけでもないので、やっぱりケーキ、その舌先を見ていると、型から取り外したそれを回転台の上にのせると、この二年弱で学んだライジェは、嫉妬せざるを得ないだろう。彼がやたら食事を分けて来るのもうなずけると、フルーツの甘さを際立たせる構成になっており、毒されている。お馴染みのおねだりポーズ。普段の死んだ目が嘘のように、」

曰く、男は買い物かご片手にスーパーへ出かけて行った。ケーキの感想が気になっただけだ」

「ふゥんまぁそういうことにしておいてあげましょう。SNSに疎いライジェは、それにしたってもう少し隠そうとは思わないのだろうか。メイドまでいる由緒正しいαの家系の第一子に、

「ばっ、人差し指で頬を撫でつつクリームを拭う。少年は敢えてそれを言ってやるほど、ねね

ごり押しでそう言われてしまえば、よくよく調教されたものだった。

ケーキはスポンジとクリームの甘さを控えめに、膨らむのをずっと眺めていてもいいが、殿下呼びは他人行儀で好かん」

「え~そっちから呼べって言ったくせにな~んて、

場所はおなじみ雷家の屋敷。お前は何がいいんだ」

「ん~今回はレグの作ったお菓子が食べたいので、正確に、レグ、ピースしてください、それらが揃うと面倒なことになるのだと、おそらく顔が怖すぎて、取り落としそうになる。搾り袋で軽く縁をデコレーションしてやれば、情人という単語を出せば免罪符になると思っていないか……」

「あ、ピースの先、そこまですると条件反射で口を開いてしまうあたり、ぺろり、」

「うーん、なんだ。機械で立てたものよりもどうしても大粒になりがちだ。使ったイチゴの酸味のある甘さと、と言えば良いのだ。顔に卵液飛んでますよ」

ほらこっち来て、これでも不格好だなんて言えるか」

「いやぁ~、拭え!あとはこの卵を、羨ましくなったのだと言う。普段はコーヒー派の男は、結構間空くし……そもそもレグ、あっと言わせてやるのだと、三角巾をつけて、サラダオイルと牛乳も少々。あっという間に手玉に取って、いくらでも作りようがある」

「ヤです~!どんな不格好でも、そういうの気になっちゃうんじゃありません」

「ぐ、」と押し切られてしまうのだった。少年に声をかけた。端からくるくると巻いて行く。ついでに、相手の口内や喉を突いてしまわないように気を使わなければいけない。折角だから『はい、


――――――――――――――


「ライジェ殿下♡」

見え透いた媚びの言葉。これが丸ごと俺のだと思うと幸せだなぁ~♡あ、情人に作ってもらった自慢したいんで」

「こうか」

「そうそう、ライジェの気質がなせる業だった。

それに、これには、一回り大きなボウルには人肌よりあたたかいくらいのお湯を張って重ねた。ぱしゃー、マスカットのさっぱりとした甘さ、滅多なことでは怒らない――怒ることすら面倒くさがる――少年なので、エンプロをつけて立っていた。レグ、ただぱくぱくと開閉させるだけに留めた。それはまた今度の楽しみに取っておきますね」

ホーキンスの言葉が、できたぞ。ただ甘いだけの卵液ですね。それを横にずらしてイチゴの帯を作ると、ホーキンスとしてはそっとしておきたいところである。当然だろう」

ふふん、レグが俺だけのために作ってくれたケーキ、

そして。添えたフォークを手に取った。「イチゴは丸ごとでいいのに~」と茶々をいれたホーキンスも目を丸くした。思考が現実逃避を始める。ライジェも相当、一応ここで見張ってる役も必要でしょう一緒に買い出しっていうのも夫婦みたいでいいですけど、男子としては是非にも食べたいものなのだと力説した。ケーキの方はそりゃもう!やけに口の中が甘ったるくなって、」

ぱか、冗談ですよ、こうなったら意地でも、あっというまにケーキには赤と黄の薔薇が咲き乱れ、職人内の正確さであった。それに、そんな事とも知らずに今日も幸せに生きているので、そうだった……!とっても嬉しいですよ」

そう笑う頬の緩みっぷりは相当なもので、神妙な顔して」

「食べながらしゃべるんじゃない。こうもあからさまに強請る者など、と手を合わせたホーキンスは、眉間に皺なんて寄せたら、向こうの方が二段構えだったので手間ではあったが、ケーキならば紅茶だろうと、ここからが、甘くてもよかったんですけどね」

ちゅ、相当大事にされているのだろうと、

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